OTA未来カフェ 虐待をなくそうシリーズ1

5月22日「虐待をなくすには?児童相談所に期待すること」を開催しました

 大田区は、児童福祉法改正を受けて児童相談所「(仮称)大田区子ども家庭総合支援センター」設立の準備に入っています。
 今回は一時保護所を体験した伊藤さんをゲストに招き、そこで体験したこと、感じたことを話してもらいました。

 一時保護所の印象をひとことで表したら?との問いに伊藤さんは迷わず「地獄」と表現しました。体験したこと、目撃したことなどの例示は、どれも私たちの想像を超えています。子どもの生活を支えるはずの職員も、既に力で抑え込むという仕組みが施設内に出来上がっているため、疲弊して、子どもに心を寄せる人は諦めてしまう、辞めてしまう。殴る、反省室に入れることで“洗脳”される保護期間であったそうです。

 伊藤さんが一時保護所に“あったらいいな”と思うしくみは「アドボケイト(代弁者)」。なぜなら、保護されたとき、保護所から兄弟が去るとき、本人が住まいに移動するとき、その全ては予告なく、結果を受け取るしかなかったのだそうです。伊藤さんの意向の確認、事前・事後の説明は全く無かったということが想像できるでしょうか。何も聞かれず、何も説明されず、聞いても答えてくれず…。大人でも大いに不安になることですが、伊藤さんが5歳のときの体験と聞きました。

「アドボケイト」は意見表明権を保障したいからとのことですが、本来は一人ひとりに弁護士を付けることが相応しいと考えています。子どもの訴えを然るべく申請できる権限を持っているからです。
 また、児童相談所には心の傷を癒す方策が整っていないことにも言及しました。心理療法士の力不足、および子どもの生活に接している児童福祉司の力不足、不確かなアセスメント、意向把握のない支援計画など、職員の質の向上は急務であることが浮かびます。

 他者の目が届かなかったしわ寄せが、「保護」された子どもたちに向かっていたことを知り、一人の社会人として、これまで関心を寄せてこなかったことを詫びる気持ちになりました。

 (シリーズ2)にも伊藤さんをゲストに招きます。多くの人に聞いて頂きたいと思います。