東京都「迷惑防止条例」改正案はアブナイ!生活者ネットは改正に断固反対します

東京都「迷惑防止条例」改正案はアブナイ!生活者ネットは改正に断固反対します

「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例(案)」(以下:「迷惑防止条例」という)について

 

2018年第1回東京都議会定例会に、「盗撮行為の規制場所を拡大するとともにつきまとい行為等の規制を強化するもの」として、いわゆる「迷惑防止条例」改正案が上程された。この改正案については、「自由法曹団支部」より条例改正に反対する決議が出されており、いくつかの問題点が指摘されている。また、SNS上でも大きく取り上げられるなど危惧する多数の声とともに注目度が高まっている。

 

東京・生活者ネットワークは、条例(案)の問題として次の3点を指摘する

1.運用者(処罰者)の「解釈」によって、処罰する場合と処罰しない場合が、ある意味で「任意」に振り分けられるしくみになっている点が問題であり、処罰の対象が拡大解釈されるおそれがある。振り分け(処罰すべき行為と処罰してはならない行為の振り分け)にかかる記載が条文には一切無く、処罰する側の自由裁量にまかされていることが最大の問題

2.条例の改正(内容)については、すでにストーカー規制法で規制されている

3.なぜ、いま改正しなければならないのか。政治や組合活動、市民活動、報道など諸活動に対して警察の介入を容易にすることが危惧される

 

都議会警察・消防委員会で、条例改正案が審議された3月19日、都庁議会棟前では、条例改正に反対する市民が集まり、抗議の声をあげた

おしなべて概説すれば、今回の改正案で問題視すべきは、「つきまとい行為等」に、「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」などの規制する行為(事例)を追加することにある。また、2016年に改正されたストーカー規制法に合わせるものとしているが、ところが改正ストーカー規制法は「恋愛感情」が出発点にあるのに対して、迷惑防止条例改正案の場合は、もとから「悪意の感情」を目的としており、社会的な抗議行動についても「うろつく」行為や「監視」行為として規制対象となりかねない。対して警視庁は、「政治や組合活動、報道などはその対象外」と応答しているが、条例運用者の裁量によって拡大解釈されるようなことが起こりかねない。

そもそも迷惑防止条例の「つきまとい行為等」は、ストーカー以外を規制するもので、現在ある規定でも、つきまといや乱暴な言動などの行為は規制できるにもかかわらず、なぜいま規制行為をことさらに追記する必要があるのか? 大いに疑問が残る。憲法で保障された市民の自由な活動を制限しかねない今回の条例改正には、断固反対するものである。

 

<今回の「改正(案)」のポイント>

五条

1項

2号 「盗撮等」の処罰行為の規制対象場所から「公衆」の限定を全て外し、かつ、従前にはなかった「学校、事務所、タクシーその他不特定または多数の者が利用し、または出入りする場所または乗物」に拡げている。

五条の二

1項

1号 「住居等の付近をみだりにうろつくこと」(うろつき行為)が新たに処罰対象になる。

2号 新設  行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと。

4号 従来の無言電話、嫌がらせ電話、ファクシミリの送信に加えて、「電子メールの送信等」も処罰対象に。

6号 新設 「その名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと」も処罰対象に

7号 新設 「その性的羞恥心を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。」

八条(罰則)

2項 次の各号の何れかに該当する者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。

1号 第五条第一項の規定に反して撮影した者

2号 第五条の二、第一項の規定に違反した者

従前:第五条の二、第1項違反の処罰は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金

なお、第五条の二、1号~3号と4号の内電子メールの送信の処罰は、「身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の平穏若しくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限るものとする。