和真くん裁判を傍聴  障害者には逸失利益がない? 命の価値は“収入”だけ?

「障害の有無に関わらず、親の悲しみに変わりはない。
失ったのは“生きる権利”。生きる権利に差があってはならない。
裁判官においては、生命の価値を大いに悩んでいただきたい」

5月19日、和真くん裁判を傍聴しました。東京地裁103号法廷での第1回口頭弁論。上記は原告側の弁護士、また原告、和真くんのご両親の意見陳述からの言葉です。

和真くんは、知的障害を伴う自閉症で、入所した施設から都立特別支援学校中等部に通う生活をしていました。家に帰ると長距離のウォーキング、外食やドライブを楽しみ、電車など乗り物が大好きでした。ゆるやかな成長であっても育てることに喜びを感じており、大切な息子だったとご両親は話されていました。

2015年9月、入所していた施設の扉の鍵が開いていたことで、和真くんは施設の外に出て行方不明になり、11月に山林で遺体で発見されました。15歳の短い生涯でした。

鍵が開いていたこと、施設側はそのことに気がついた時点で子どもが全員いるかどうか点呼確認をしなかった、それぞれの子どもに責任を持つ担当者がいないなど、安全管理の配慮を怠った施設側の過失は明らかです。

しかしご両親の落胆は続きます。業務上過失の賠償を求めたところ、示談で、“逸失利益ゼロ”とされたのです。息子の将来を価値がないとされたこと、命を差別されたことには到底納得できない、とご両親は東京地裁に提訴したのでした。


この日、103号法廷は100人を超していたのではないでしょうか。満員でした。心ある弁護士の意見陳述、ご両親の悔しさのつまった意見陳述に多くの人が胸を打たれたことと思います。障害者権利条約が締結され、障害者差別解消法も制定、障害のある人の人権尊重が一層推進されようとしているこのとき、合理的配慮を考え、社会全体の差別のない人権意識の基盤作りが重要です。
この裁判の行方が“命に差別をしない”社会作りに寄与する、よい判例になることを期待するものです。

次回の裁判は、9月22日(金)14時~
その次が12月22日(金)14:00~

いずれも東京地裁103号法廷

多くの方で裁判の行方を見守りましょう! 傍聴に行きましょう!

和真くん裁判についての記事はこちらでご覧になれます。

和真くん「いのちの差別」裁判を支援する会のHP
15歳の命の価値-訴訟編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明会が開催された弁護士会館にて