12/9 「甲状腺がんの若者への支援の現状学習会」報告書

甲状腺がん若者支援チラシのサムネイル12月9日(日)大田区立消費者生活センターで開催された学習会に参加しました。福島の子ども甲状腺がんの現状はもっと大勢が知らなければならないことだと思い報告します。

 

「311子ども甲状腺がん裁判」は2011年の東京電力福島第一原発事故に伴う放射線被ばくによって甲状腺がんなどの健康被害を受けた被害者、とりわけ子どもたち(事故当時6~16歳)の7人が東京電力に損害補償を求めている裁判です。

福島県内には350人もの子どもが甲状腺がん、ないし甲状腺がんの疑いと診断されています。中には再発や転移で苦しみ甲状腺の全摘手術した上に放射性ヨウ素を自ら取り込み内部からがん細胞を滅する「アイソトープ治療」という大人が受けても大変つらい治療が必要な子供もいます。小児甲状腺がんは100万人に1人~2人という希少ながんにもかかわらず、政府と福島県は放射性被ばくとがんの因果関係を否定し、甲状腺がんスクリーニング検査の受けすぎが子どものがん発見につながっているだけと主張しています。こうした風潮ではがんが発見された子供たちは声を上げることができません。この状況の中、7人の子どもたちが立ち上がり孤立し追い詰められていく患者から救済を求める原告という立場になり闘いはじめました。勇気ある7人の子ども達を支援し、加害責任の明確化や、被害者への補償、国による救済策が実施されるよう支援を続けている福島県在住の「甲状腺がん支援グループ・あじさいの会」共同代表千葉親子さんから支援の現状を、そしてこの裁判について報道が正しくされてなく、また報道そのものもほとんどされていないため裁判の経緯を周知する勉強会を蒲田で開催している小林正二さんのお二人からお話を伺いました。

甲状腺がん発症者数や福島県内地域別発症者数も被害を少なく見せられるよう巧妙に操作されたものであることや専門家も疑問視する科学的データを根拠に福島の放射線被ばくを過小評価し「放射線被ばくによる健康影響は将来的にも見られそうにない」と公表する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告に準じて健康被害を認めない対応を国がしている実態など怒りを覚える内容の数々でした。

甲状腺がんの話題は福島を放射能汚染に結び付け復興を妨げる、など主張する福島県民もおり、福島県民同士でも神経を使うそうです。しかし希望の学業や就職を通院や治療のためあきらめる、結婚や妊娠の不安を抱えている、甲状腺がん以外の健康被害に苦しむなど様々な問題を抱える子供たちが実際に存在しているのは残念なことです。

今回の勉強会では千葉さんとあじさいの会の方々が共に福島の子どもたちの放射線被ばくによる健康被害をなかったことにしないために全力で活動しておられることを知ることができました。
この裁判を知らない方に知ってもらいたいというその熱い思いは、じかにお話を聞いた参加者には強く伝わり、力になりたいという感想が多くありました。

(上池台 K.O)