都心を超低空飛行する新飛行ルートは撤回を!~ 集会報告:大井町きゅりあんにて

10月9日、大井町きゅりあんで、羽田空港増便・新飛行ルート問題を考える大きな集会が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

航空機からの落下物事故が相次ぐ中で、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けた国際便の増便とそれに伴うルート変更にはますます不安が広がっています。都内各地から340名の人が集まり、天文・宇宙物理学者の池内了さんの講演と各地の新ルート撤回運動の報告を伺いました。あらためて、このルート案の無謀さ、住民無視の国の姿勢に怒りを覚えました。池内先生のお話からすこしご報告いたします。

 

〔池内了先生のプロフィール〕

天文・宇宙物理学者。理学博士。総合研究大学院名誉教授。世界平和アピール七人委員会委員、「九条の会」世話人、軍学共同反対連絡会共同代表。

 

 

 

 

 

 

 

池内了先生と

 

 

●空の占領・構造的暴力

構造的暴力とは:権力・多数派・大企業優先など社会の仕組みや構造により不平等・不正義が押し付けられ、被害・苦痛・差別・格差などが生じること
(富の不平等分配・搾取構造・自己責任・貧富の拡大・苦痛の強要)
【1】 国家の安全保障:宇宙開発は安全保障分野(軍事目的)が第一目標になった。
【2】 日米同盟:「日米地位協定」による横田空域の占領
東京・神奈川・埼玉など一都七県の上空の飛行制限、過密、遠距離、う回飛行の強要
【3】  国家の事業:オリンピックという口実での増便・超低空飛行の強行

なるほど、構造的暴力は、個人に向けた直接的な暴力ではないため、苦しくてもだれにどう抵抗してよいかわからず、泣き寝入りすることになるわけですね。

 

●宇宙開発という隠ぺいされた軍事利用

宇宙開発ははじめ平和目的だったものが、2008年の「宇宙基本法」により核ミサイルを作れる可能性、2016年「第3次宇宙基本計画」で軍事化路線が明確になった。ちなみに情報収集衛星打ち上げ(計10機、1兆円以上、内閣府予算)

 

●オリンピックを口実にした超低空飛行

都心上空を埼玉から南方向に降下(これまでは海から入って海から出た)
オリンピックを口実にした傍弱無人(道路・選手村・公共工事、予算ばらまき、共謀罪・・・)

 

●「公共財」が国や資本家に絡めとられている

公共財という誰でもが使える財やサービスが私たちの手から奪われつつある。
公有地・空・海・川・土・・・・
私たちは自由市民として、公共財を共有し、私たちの意見で使用する権利を主張しなければならない!

「公共財」として、安全重視のため、弱者・高齢者・身障者のため、採算を度外視して、自治体が経営、民間の参入規制を強化してきた、厳しい安全基準。
(建築基準法・原発規制法・水質基準・薬事法・・)
基準緩和=指定管理者制度(図書館・美術館・公園・上下水道・空港・・)
規制を撤廃して、自由競争、市場原理に任してよいのか
民営化されたもの(国鉄・たばこ・塩・郵便・種子・高速道路・・)

 

 

 

 

 

 

 

 


規制緩和は私たちの幸せにつながるのか?

現政権のめざす“市場原理に任せる=新自由主義経済”の方向性の中で進められてきている羽田の増便問題。池内先生のいうところの「構造的暴力」の構図は、羽田の新飛行ルート案だけにとどまらない、私たちの「公共財」を私たちの平穏な生活をあらゆる方向からじわじわと奪っていくのではないかと気づかされるのでした。軍事目的の宇宙開発に巨額の税金がつぎ込まれていることを私たち、国民は納得しているのでしょうか。