報告~4/20「オランダの教育から学ぶ」リヒテルズ直子さん講演会
『一人ひとりの人間を大切にする国・オランダの教育から学ぶ』
リヒテルズ直子さん講演会
4月20日、リヒテルズ直子さんの講演会が生活消費者センターで行われ、150人の参加者がありました。また、講演会に引き続いて5人のパネラーによるパネルディスカッション 。世界で一番幸福感の高い子どもたちの国、オランダから日本をながめることで見えるもの、そして日本の教育現場からも、さまざまな問題が浮き彫りになりました。
リヒテルズ直子さんの講演会を、少しご報告いたします。
“何のために、どんな人間を育てたいのか”“どういう社会をめざすのか”と、まず教育の目標を真正面から考えさせられたスタートでした。
日本の教育は一体、何をめざしているのでしょう。“学力テストでいい点をとることに必死になって、それだけでどうするの?”“人と歩調を合わせる、がまんをすることばかりを強要されて、それでどうなるの?”、“めざす人間像”が見えないことに不安を抱かざるをえません。
■幸福感と社会的能力が高く、学力も高いオランダの教育、その秘訣
オランダの教育の特徴は“教育の自由”と“個別指導の重視(インクルージョン)”だといいます。思想教育、宗教教育もOK、学校ごとの自由裁量権はとても高いとのこと。各学校が競って、子どもたち、一人ひとりのニーズや発達に合わせた教育を創意工夫して実現しているのです。
“一人ひとりの子どもが自分の力を出せるようになる、エンパワーメントを持つこと”=その教育の目的がそのまま、めざす社会のあり方であるといいます。
■自立した市民を育てる
オランダの近代化の一つ、教育改革は、”個性尊重と共生“を目指すものでした。それは、差別の歴史への反省があったからだといいます。ナチスは、民主主義の手法(選挙)によって生まれたという事実、そして移民問題、他の国々との連携の重要性・必要性から”主体性““共生“のあり方が模索されたのです。したがって学校教育の中で”表現すること“、”考えること“、”人の意見に耳を傾けること“、”時事を通して学ぶこと“が重視され、同時にそれが、”公共の利益“の追求、”自立した市民“を育てる道に繋がったということです。
オランダでは、学校は、子ども同士で、教え合う場であり、問題解決を体験していく場(民主的シチズンシップ教育)です。特別支援教育、インクルージョンも進んでおり、重度の障害があっても希望があれば、好きな学校へ行けるそうです。
ひるがえって日本の近代化は、工業化は進んで、多少の学力はついたかもしれませんが(でも本当の学力って?)“市民社会”や“自立”を生みだすことはできなかったのではないか、全人的な発達に目が向けられてこなかったのではないか、という大きな宿題をいただいた講演会でした。“競争”より“共生”という言葉が心に響きました。
さて、そのためには、何ができるのでしょう。
管理教育からの脱皮、テスト偏重のしくみや制度の改革、・・・教育の根本の問題に取り組んでいかなくてはなりません。子どもの幸福を願う人たちのゆるやかなつながりを大事にしながら、日本の教育の問題に立ち向かうべく、この「子育ちと教育を考える東京フォーラム」をこれからも継続して開催していきたいものです。
詳しくは、録画をご覧ください。
満員御礼!当日の模様をビデオでアップしております
基調講演 |
パネルディスカッション |
先進国で最も“幸福感”“自尊感情”の高いオランダの子どもたち。教育だけでなく社会システムにも秘密がある?!オランダ教育・社会研究家のリヒテルズ直子さんに伺いました。
◆基調講演「一人ひとりの人間を大切にする国・オランダの教育から学ぶ」
リヒテルズ・直子さん(オランダ教育・社会研究家)
◆パネルディスカッション「どうする!? 東京の教育」
パネラー: リヒテルズ直子(基調講演者)
櫻井光政(元大田区教育委員会委員長)
土肥信雄(元東京都立三鷹高等学校校長)
片桐健司(障害児を普通学校へ・全国連絡会)
工藤春代(市民シンクタンクひと・まち社代表理事)
ファシリテーター: 奈須りえ(大田区議会議員)
日時: 2013年4月20日(土)15:00-18:00 (開場:14:30)
会場: 大田区立消費者生活センター 大集会室
大田区蒲田5-13-26-101
資料代:500円
主催: 子育ちと教育を考える東京フォーラム
共催: 大田・生活者ネットワーク、品川・生活者ネットワーク、
目黒・生活者ネットワーク